犬のステロイドの正しい理解と使い方

・ステロイドの種類と適応
・使用用量によって変わるステロイドの目的
・副作用と注意事項


犬のステロイドの正しい理解と使い方

 

「ステロイド」という薬は多くの方が一般的に知っている名称ですが、その薬はなぜ怖いのか、本当に怖いのか、どういう目的で使用するのか。ステロイドについて漠然としたイメージで捉えており、稀に強い拒否感を示す方もいらっしゃいます。もちろん副作用のない薬ではありませんし、闇雲に、長期的に使用することが推奨される薬ではありません。
ステロイド薬療法について正しい知識をつけ、正しく使用していくことが大切です。

 

ステロイドの種類と適応

犬のステロイド(今回は一番多く使用されているプレドニゾロンについて)の適応は以下です。
①炎症性疾患に対する抗炎症作用
②免疫介在性疾患に対する免疫抑制作用
③腫瘍に対する抗腫瘍作用

このように、目的によってプレドニゾロンに期待する作用は大別されます。
痒み止めとして使用される場合もありますが、主に診断としての意義が強く、長期使用は推奨されていません。

 

使用用量によって変わるステロイド目的

下記のように、プレドニゾロンの用量は、期待する目的によって変わります。

「抗炎症」目的で使用する場合
0.5 ~1 mg/kg 経口投与 1日1~2回

「免疫抑制」目的で使用する場合
2~4 mg/kg 経口投与 1日1~2回

「抗腫瘍」目的で使用する場合
2 mg/kg 経口投与 1日1~2回

※必要に応じ用量を漸減する。

使用する量によって副作用の強度が変わってきますので、例えば抗炎症量での投与に対して、過度に免疫抑制量で発生するような副作用を心配する必要はありません。
また、抗炎症量で使用する場合、拒絶反応予防や整形疾患など多くが一定期間に限られており、長期的な副作用が心配されるケースは少ないと思われます。

 

副作用と注意事項

副作用としては主に、
・多飲多尿、体重増加、パンティング、嘔吐、下痢、肝酵素活性値の上昇、消化管潰瘍、凝固亢進、高脂血症、糖尿病、筋肉の消耗、行動の変化 があります。
短期的には多飲多尿や消化器症状が多く、すぐに糖尿病などを発症するわけではありません。
ただし、基礎疾患として下記の疾患がある場合は注意が必要です。
・細菌感染、糖尿病、全身性真菌感染症、角膜潰瘍、副腎皮質機能亢進症、高血圧,うっ血性心不全や腎不全

このように、ステロイドをどのような目的で、どれくらいの量・期間で使用するかによって心配すべき項目も変わってきます。
闇雲に怖がったり安易に使用したりするのではなく、正しく理解をして正しく使用していくことが大切です。

 

※参考文献:犬の治療ガイド2020. 2020,8,1.p1116-1117

記事執筆者
長江嶺(金乃時アニマルクリニック・獣医師)
略歴:東京都内の動物病院、神奈川県内の動物病院の勤務医を経て、現在は横浜市を診療エリアとする往診専門の動物病院を運営しています。詳しいプロフィールはこちらです。

CONTACTお問い合わせ・予約

診療時間:10:00~19:00
【土日祝も診療】
※事前予約・不定休

往診対応エリア
【横浜市内】
港南区/戸塚区/南区/保土ヶ谷区/西区/栄区/磯子区/中区/金沢区/泉区/瀬谷区/
神奈川区/旭区/青葉区/緑区/都筑区/港北区/鶴見区

【横浜市周辺エリア】
川崎市/大和市/座間市/綾瀬市/藤沢市/鎌倉市/逗子市

東京都内の往診を希望の方はご相談ください

TEL:080-7475-5073

※折り返し希望の方はメッセージを残してください

お問い合わせ・予約