犬の誤嚥性肺炎

犬の誤嚥性肺炎の原因
誤嚥による感染性肺炎の成立
犬の誤嚥性肺炎の治療と予後


犬の誤嚥性肺炎

 

高齢期では時折注意が必要となる誤嚥性肺炎。唾液や食べ物、胃液などを気道に吸引することで発症する肺炎ですが、
老化による免疫力の低下だけではなく、脳疾患や口腔内腫瘍などによる嚥下障害や涎、また寝たきりの状態での給餌では注意が必要になります。

 

犬の誤嚥性肺炎の原因

誤嚥性肺炎の原因は誤嚥物の特性によって異なりますが、問題になる場合の多くが細菌性肺炎に移行します。発作や嘔吐などの際、あるいは意識障害がある中や無理な姿勢での強制給餌が発症のきっかけになることが多いです。また、高齢になると基礎疾患があったり口腔内の環境も悪くなっていくため、誤嚥した際の細菌感染のリスクは増加します。
特にフレンチブルドッグでは4-5倍程度もリスクが高かったとされ、犬種による影響も考えなくてはなりません。

 

誤嚥による感染性肺炎の成立

誤嚥した直後では気道内の反応に限局され、呼吸困難やチアノーゼ、低酸素などを呈します。その後5時間前後経ってから炎症反応が惹起され、発熱や肺の硬化に繋がります。その後細菌の二次感染が生じ、2日前後経ってから白血球数の増加や炎症値(CRP)の上昇などが認められます。
そのため、誤嚥した直後に病院で血液検査やレントゲンをとっても異常が確認できない場合もあります。状態や発症リスクを考えながら、継続的かつ早期の対応が望まれます。

 

犬の誤嚥性肺炎の治療と予後

主に酸素投与、輸液、抗菌薬の投与が行われます。抗菌薬の選択や輸液の実施、その他の補助療法は個体毎の状況と基礎疾患によって判断されます。
一般的には基礎疾患治療や状況の改善が奏功すれば支持療法のみで改善する可能性は高く、80%程度の症例で生存退院したと報告されています。誤嚥性肺炎から急逝呼吸窮迫症候群(ARDS)に陥ると予後が厳しくなるため、治療反応が乏しい症例ではシベレスタットナトリウム(ARDS用の呼吸器治療薬)の投与が検討されます。そのため、一般状態が厳しく劇症化しやすい状況では入院での対処が求められます。誤嚥性肺炎の診断には「問診」が非常に大切ですので、飼い主さんは状況を冷静に獣医師に伝えられるようにすることが重要です。

 

※参考文献:犬の治療ガイド2020. 2020,8,1.p251-254

記事執筆者
長江嶺(金乃時アニマルクリニック・獣医師)
略歴:東京都内の動物病院、神奈川県内の動物病院の勤務医を経て、現在は横浜市を診療エリアとする往診専門の動物病院を運営しています。詳しいプロフィールはこちらです。

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