猫の鎮静処置と往診

猫の興奮の負担と危険性
通院前や院内に使用する鎮静方法
興奮する猫の往診対応の実際


猫の鎮静処置と往診

 

攻撃性や興奮性の高い猫の診察では、「鎮静処置」が必要な場合があります。もちろん鎮静自体は積極的にすべきことではありませんが、猫の気質や状態によっては、本人にとって安全であったり、飼い主やスタッフの負担軽減にも繋がります。
通院が苦手という猫の往診は非常に多いので、病院での鎮静と往診での対応の違いを確認して、より自分の子にあった方法を選択しましょう。

 

猫の興奮の負担と危険性

「鎮静」というと全身麻酔のように非常に負担やリスクの大きい処置と思われるかもしれませんが、その種類には様々あり、個体の状態に応じて量や薬剤を選択することが重要です。過剰な興奮に対してやむなく鎮静することは悪いことではないのですが、猫の場合は検診歴がなかったり、聴診ではわかりにくいレベルの心筋症を抱えていることも多くあります。そのような場合はいきなり心筋に負担をかける薬(ex.ケタミンなど)はできるだけ避けたり、薬を併用して呼吸抑制などの副作用が出にくくするような対応が必要です。

 

通院前や院内に使用する鎮静方法

重篤な副作用を避けようとすれば鎮静の選択肢が限られてくるように思えますが、結果としてあまり効果を得られない場合も多々あります。

来院前の鎮静薬

来院前に推奨される薬としては「トラゾドン」や「ガバペンチン」が挙げられます。トラゾドンは来院の2時間前に内服することで抗不安作用を得られます。症例によってはやや強く鎮静作用が出る場合がありますが、呼吸や循環器への影響の弱い薬ですので安心して使用できます。
ガバペンチンは抗てんかん薬や神経痛などに処方される薬になりますが、鎮静作用があります。トラゾドンより強い鎮静が得られる反面よだれや嘔吐がみられる場合がありますので、トラゾドンで効果のない場合に使用します。
どちらも経口で投与可能です。

院内での鎮静処置

しっかりモニターや緊急対応ができる院内では、より強い鎮静処理も可能です。
アセプロマジン(長期間の持続)やメデトミジン(血圧の低下)などややリスクのある薬も使用できますが、基礎疾患がなければ比較的安全に使用できます。
場合によっては全身麻酔でも使用されるケタミンやアルファキサロンを用量を調整したり、薬を組み合わせたりして使用することもあります。

 

興奮する猫の往診対応の実際

当院の往診では、興奮が激しい子にはトラゾドンを事前に飲んでいただいくことがあります。
「病院は興奮するから往診で」という依頼も多くありますが、残念ながら自宅でも興奮してしまう子はおります・・
ただ、日常的にそのようなお話をいただく中では、病院で断られた猫ちゃんが穏やかに診察できたり、通院後に食欲がなくなってしまう子が診察後も元気にご飯を食べているケースは非常に多く、実際に鎮静が必要な子は年に2-3件もいない状況です。
鎮静はあくまでその子を守るための対策ではありますが、自分の子の状態にあった方法で受診しましょう。

 

※参考文献:犬の治療ガイド2020. 2020,8,1.p886-889

記事執筆者
長江嶺(金乃時アニマルクリニック・獣医師)
略歴:東京都内の動物病院、神奈川県内の動物病院の勤務医を経て、現在は横浜市を診療エリアとする往診専門の動物病院を運営しています。詳しいプロフィールはこちらです。

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